社長のブログBlog

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当社の仕上げを一言でいえば、釘と足入れの確認だ。

靴の中には、ヒールを止める釘。
カウンター(かかと補強芯)を止めるタックス(小さな釘)がある。

ヒールが、確実に打たれているのか?
タックスの先が、立っていないか?

X線等の外部検査会社はあるが、最終責任者は、製造者である。

スタッフの目視と触診(釘を指で強く押す)が、すべて。
2人体制で行い見逃しは、許されない。

チェック担当者は明確にしているが、最終責任は、会社が負う。
最後は、「スタッフを信じる」

仕上げは釘の確認後、中敷き貼りから始まる。




足入れ確認とは、履き口のフィット感とかかとのくい付き。

4人の女性スタッフが、同じ場所、時間でチェックする。
問題があれば、すぐに原因確認、改善する。

靴の履き心地を決める底付けの各工程担当者を
可視化しているので、できるのだ。

仕上げは、糊とり、小皺伸ばしの熱風、コテと進む。




最近は、アンチック(こがし色の濃淡模様)仕上げが、人気だ。

主に爪先とかかとの表面を綿バフで、焦がしワックスを浸透させる。

1分間に1000回転以上する綿バフの摩擦熱、蝋と革とのコラボで、なせる技だ。

箱入れ手前で、革キズを「生きてきた証(天然の風合い)」か
「不良」かの最終判断。

「これは、アウトや」

また一から作り直し。革靴には、つきものだ。

仕上げは、箱入れで終了。















靴の履き心地は、底付け(つりこみ)で決まる。

ヒール、本底(地面に接する)、中底、靴型(木型、ラスト)、
カウンター(かかと補強芯)、製甲(アッパー)、先芯(爪先補強芯)

それぞれのパーツに何材を使うのか?
本底、中底、アッパーの貼り合せ方法は?
つりこみに機械を使うのか?

上記質問の回答によって、靴の値段は、何十倍にもなる。

当社の答えは、製甲は革・接着剤で貼り付け(セメンテッド式)
爪先つりこみ(トーラスター)・かかとつりこみ(ヒールラスター)を使うである。




西成は、浅草に次ぐ100年以上の歴史のある革靴の産地だ。

機械化と良質な接着剤の普及で、靴は履き捨ての工業製品となった。

ワニ(革を引っ張る道具)とバフは、革靴メーカーの最後の砦。

本底との貼り合わの為、革アッパーの本底接着部分を
砥石で削ることをバフという。

革は、接着剤を塗るだけではくっつかず、「削る」工程が必要。
革の矜持だ。




爪先、かかとを機械でつり、残り部分をワニの方向、角度、引っ張り加減でつり込む。


底付け段階で足入れ問題は、すべて解決しないと駄目だ。

難儀なものは、機械でつった部分を外して、再度ワニでつりなおす「二度つり」で対処する。

つりこみの補填として
履き口、かかとへの乗せ甲
熱風機のローラーでの小皺伸ばし、木型へのいつかせ
ミスの繰り返し防止、つりこんだ者を特定するカラーマグネット

当社の秘伝、隠し味だ。













製甲へのこだわりを話そう。

秘密は、足を包む縫製(アッパー)の裏側にある。

製甲工程がシンプルか複雑かの違いだ。
完成品での裏側の確認は、難しい。

外観でも判断できることがある。

履き口(口まわり)のミシン目が見えるのか?

見えない→スキルを要する無双縫製

革の裁断面が、見える?

見えない→ ぶち切り(見える)以上に工程をかけている。




革靴の製甲は、とにかく手間暇がかかる。

折り代の革漉き、糊ぬり、テープ゚貼り、補強芯入れ、
折り込み、貼り合わせ、ハンマーでたたくなどなど。

繊細な作業の指先をご覧あれ。




裏材のはみ出た部分を縫った糸を切らないように市切り。

裏材のミシンかけ。
本革(表革)と裏材を重ねてのミシンかけ。
革は、穴が開く。やり直しがきかない。

革靴の製甲は、大量生産のパーツの組み合わせではない。

微調整をしながら作品を仕上げる「彫刻を彫る」に近い。








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