牛革と合皮の裁断の違いは、広げるか、畳むかだ。
合皮は、均一なため重ねて抜け、作業効率が抜群。

本革の裁断は、1枚ごとに「肌質」が違うので、
なんせ時間がかかる。

天然皮革の革キズこそ、「生きてき証」
ハラキズ、血筋、首シワ(トラ)、ホクロ、虫喰い
色ムラ、シボ、裏側の染色ムラ(写真参照)・・・・


しかし「証」は、風合いにも不良にもなる曖昧なものだ。


 
シングル布団ほどある半裁(牛の半身)を広げて、
目視で革のチェック。

方向・角度を変え、手で引っ張り、指で後ろから突いたりする。
革靴は、つり込む(引き伸ばす)のが、メインだ。

よって裁断時、革本来の伸長方向、繊維の引き締まりの強弱も加味しなければならない。

革を引っ張た時に、皮膚下の凹凸が浮かび上がることになる。

難儀だ。

とにかく、さする。指先がセンサーなのだ。

位置を決めタガネを置いて、裁断する。

歩留まりを高くする(捨てる革を少なく)のが、腕の見せ所。



裁断は、指づめ注意が絶対だ。

当社には、裁断スタッフが3名いる。内2名は、女性。

1日中の立ち仕事で、本革を女性が裁断することは、
業界では、貴重なことだ。

会社のちょっとした「自慢」である。